もし、「2位じゃだめなんですか」が何の2位なのかお分かりの方や、スパコンに詳しい方で、それでもあの発言に反対する方へ。
多分この記事読む必要ないです。私は蓮舫議員の意見も議論する価値のあるまともな意見だと思っているだけで、別に支持というわけではありませんし、あなた様方の意見も正しいと思います。
以下それ以外の人へ。
あと私は元々民進党嫌いですし、蓮舫議員のことも安保法制の採決で大嫌いになり、森友・加計学園の騒ぎで大々々嫌いになりました。
そもそも「京」は何の1位を目指して作られたのか
スパコンは多種多様なものがあり、得意不得意もあり単一のテストでスパコンの優劣を簡単に決めることはできません。
例えば国産ベクトルプロセッサNEC SX搭載の地球シミュレーター2は、あるベンチマークスコアでは世界100位に入りませんが、同時期に別のベンチマークスコアでは世界3位でした。
でも一応どんなスパコンでも簡単に計測できるベンチマークということで、LINPACKというスコアで世界中のスーパーコンピューターをランキング付けしたものが有名です(マスコミでスパコン世界一っていってるのは大抵これ)。
で、京はこのランキングで一位を取ることを目標に開発されたようです。
LINPACKのスコアはそこまで重要じゃないのでは
で、このLINPACKのスコアですが、とりあえずたくさんプロセッサを並べれば良いスコアが出るそうです。
京は安定性が高く、新技術もいっぱい盛り込んでいますが、それらはこのLINPACKのスコアに反映されません。
このスコアを出したかったら、中国みたいにGPUいっぱい並べれば京の予算よりはるかに低価格で同じスコア出せます。
なので、京はこのベンチマークでスコアを出すには不利な構造です。それにもかかわらず、このLINPACKで世界一を目指すことを目標に計画・予算を立てるのは妥当なのか、2位じゃだめなんですか、というのが蓮舫議員の発言の正しい意味です。
動かすプログラム次第では、LINPACKのスコア通りの性能が全く出ないこともあります。特に物理シミュレーションなどではいくら高速なCPUを積んでいても、ネットワークが貧弱だとまったく性能が出ません(この辺はLINPACKでは測れません)。
もちろんLINPACKスコアが重要となるケースもありますので世界一に価値が無いわけではありませんが、それが主目標になってしまうのが妥当かどうかは議論の余地があるのではないでしょうが。
京の本当の凄さはLINPACKのスコアじゃない
京の本当にすごい点はLINPACKスコア以外の点にあると思います。まず故障しないこと、従来の古いプログラムが動くこと、プログラムの書きやすさ、万能なこと、などです。一言で言えば使いやすい。
高性能なスーパーコンピュターでも使いにくければ役に立ちません。使いにくくてもOKなら安価で高性能なコンピュターも作れますが、京は高性能でありながら、使いやすいスパコンです。
京は時代遅れの戦艦大和?
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51293000.html
こんな記事がありました。しかし私は良い意味で京は戦艦大和のような存在だと思います。
戦艦大和の存在した当時、空母に押されていたとは言えまだ戦艦に活躍の場は多くありました。
現在GPUなどを使用した新しいスーパーコンピュターが増え、京のような従来方式のスパコンは時代遅れになりつつある気もしますが、まだ新しいスパコンにできないこともあるそうです。
また戦艦大和は当時の最新技術を積み込んではいましたが、乱暴に言うと従来の戦艦を大きくしただけです。
京も最新技術を盛り込むことで従来のスパコンを大きくしただけです。それ故従来のスパコンと同じプログラムや手法が使えるメリットがあります。